玉置行政書士事務所

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愛知県の建築基準法第51条ただし書き許可の取扱基準について

2人「51条許可愛知県版」 (640x240)

◉相談・申請先

 建築基準法第51条許可に関する事前相談、申請書の受付は、次の愛知県建設事務所建築課で行っていますが、名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市、一宮市及び春日井市は特定行政庁としてそれぞれの市長が行います。
 尚、許可要件等は原則、特定行政庁が独自で定めています。ただし、道路幅員、緩衝帯、建ぺい率等都市計画法上の許可要件的には、基本的に愛知県と大きな差異はありませんが、具体的な取扱いにおいては当該特定行政庁の担当者と十分な協議をしながら進める必要があると思います。

愛知県
 役 所 名  住 所 等  管 轄 区 域
尾張建設事務所
 建築課
〒460-0001
名古屋市中区三の丸 2-6-1
電話 052-961-1845
 瀬戸市、津島市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、尾張旭市、岩倉市
豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市
長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、飛島村
 知多建設事務所
 建築課
 〒475-0828
半田市瑞穂町 2-2-1
電話 0569-21-3316
 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町
美浜町、武豊町
 西三河建設事務所
 建築課
 〒444-0860
岡崎市明大寺本町 1-4
電話 0564-27-2735
 碧南市、刈谷市、安城市、西尾市、知立市、高浜市、みよし市、幸田町
東三河建設事務所
 建築課
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町 6
電話 0532-52-1315
豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村
特定行政庁
役 所 名  住 所 等
 名古屋市 住宅都市局 建築指導部
  建築指導課 市街地建築係
 〒460-8508 名古屋市中区三の丸3-1-1 名古屋市役所西庁舎2階
電話 052-972-2918
 豊橋市 建設部 建築指導課 建設審査グループ  〒440-8501 愛知県豊橋市今橋町1
電話 0532-51-2581
 豊田市 都市整備部 建築相談課  〒471-8501 愛知県豊田市西町3-60 豊田市役所西庁舎4階
電話 0565-34-6649
 岡崎市 建築部 建築指導課 監察指導係  〒444-8601 愛知県岡崎市十王町2-9 岡崎市役所西庁舎1階
電話 0564-23-6816
 一宮市 建設部 建築指導課 建築安全推進グループ  〒491-8501 愛知県一宮市本町2-5-6
電話 0586-28-8644
 春日井市 まちづくり推進部 建築指導課 管理担当  〒486-8686 愛知県春日井市鳥居松町5-44
電話 0568-85-6328
◉許可の概要

通称51条許可と呼んでいますが、その内容について建築基準法第51条では都市計画区域において卸売市場、火葬場等やがれきの破砕処理で5t/日を超える等の産業廃棄物処理施設の用途に使用する建築物は、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならないとなっています。

但し、愛知県が愛知県都市計画審議会(その敷地の位置を都市計画に定めるべきものが市町村であり、且つ、その敷地が所在する市町村に市町村都市計画審議会が置かれている場合は、当該市町村都市計画審議会)の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障が無いと認めて許可した場合又は軽微な規模の範囲において新築し、若しくは増築等する場合においては、この限りでは無いとなっております。

そして本基準は建築基準法51条許可申請時の対象施設、位置、道路、事前説明、施設整備の各基準で構成されていますが、敷地の立地条件等によっては、この基準によらない場合もあります。

たとえば工業・工業専用地域内ではあるが、その敷地の位置が辺(へん)縁部(えんぶ)の場合で、隣接地等に住宅団地などがあり、良好な居住環境の維持に著しい影響を及ぼす場合及び建築物ではないが公園等静穏な環境を求めて不特定多数の人々が集まってくる施設から100m以上離れていない場合並びに“当該市町村の都市計画に関する基本的な方針”いわゆる市町村マスタープランに合致しない場合などケースによっては不可になることも考えられます。

◉愛知県都市計画審議会

愛知県都市計画審議会は7月、2月の年2回開催され、開催月の3ヶ月前にまでに出来上がっている案件(書類)を審議会で諮ります。
ただし、実務上の流れとしましては最初は愛知県内の各建設事務所の建築課で協議を始めるわけですが協議を重ねてほぼ完成に至った案件は愛知県庁建築指導課に移管する手続き(エントリーと呼んでいます。)が有り、その時期は開催日の5ケ月前となっています。
つまり、5ケ月前に完成の域に達していないと審議会では諮れません。

又、許可を受ける施設が一般廃物処理施設であれば、当該市町村の都市計画審議会にも諮る必要があります。順番としては市町村の都市計画審議会が先でその後に愛知県都市計画審議会に諮ります。

◉対象施設

(1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第7条第1号から第13号の2に規定する産業廃棄物処理施設
・工場等の敷地内に位置する産業廃棄物処理施設で、当該工場等より排出される廃棄物に限って処理を行うものは、あらためてその位置付けをする必要がないため規制対象外です。
・廃棄物処理法施行令第7条第14号は“処分場”であり“処理施設”ではないため対象施設外です。

(2)同令第5条第1項に規定する1日当たりの処理能力が5t以上のごみ処理施設

(3)海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条14号に掲げる廃油処理施設

(注)都市計画法第29条第1項第3号を受け、同政令第21条第22号により“廃棄物処理法によるごみ処理施設である建築物”の開発行為は適用除外となっているが産業廃棄物処理施設の開発行為は規制対象となっていることに注意が必要です。

◉位置の基準

(1) 市街化区域の場合
原則として工業地域又は工業専用地域であること

(2) 用途地域の指定のない区域内の場合(市街化調整区域を含む)
既存集落(概ね50戸以上の住宅が連たんしているものに限る。)から100m以上離れていること。
住居系の用途地域から100m以上離れていること。

(3)共通事項(工業・工業専用地域、その他)
学校、老人ホーム、保育所、病院、図書館その他これらに類する建築物から100m以上離れていること。
本項のうち距離の制限について住居系用途地域等と、その他の処理施設との間に幹線道路、鉄道施設又は大規模な工場等があり公害防止上支障がない場合はこの限りではない。

≪位置の基準の注意ポイント≫
(1)は市街化区域の場合であり“準工業地域”を原則認めていないところに注意が必要である。

(2)は市街化調整区域等の場合である。工業地域、工業専用地域内であれば原則、この基準は適用されない。既存集落の括弧書きでいう“住宅”は一戸建て、長屋建て、共同建てを示しており、専用、併用を問わない。また住民票等の所在を絶対要件としていないので“セカンドハウス”も対象となる。

“概ね”とは、本県においては都市計画法の開発許可基準運用実績等に鑑み1割とする。つまり45戸のワンルームマンション1棟は既存集落となる。

連たんの状況は「間隔をもって判断する場合」と「一定の区域の範囲内における建築物(住宅)の集中の程度をもって判断する場合」が考えられるが「間隔をもって判断する場合」の”連たん”とは直線距離で概ね50m以内ごとに住宅の敷地が連なっていることをもって判断することを原則とする。

(3)は“位置の基準”の共通事項であり、工業地域、工業専用地域、市街化調整区域等すべてに適用される。“学校、・・・その他これらに類する建築物”とは、特定又は不特定多数の人々が集まり、静穏な環境を必要とする建築物をさしている。例示すれば博物館、美術館、診療所及び建築基準法施行令第19条第1項の児童福祉施設等があげられる。

“本項のうち・・・公害防止上支障がない場合はこの限りでない。”という距離制限の緩和についての運用は、以下のとおりとする。当該廃棄物処理施設自体が、騒音、振動、悪臭、大気汚染、水質汚濁等敷地周辺環境に与える影響よりも、既存施設である幹線道路等の周辺環境に与える影響が大きい場合は、距離制限の緩和対象と扱って差し支えない。

“幹線道路”とは、幅員20m以上、かつ、4車線以上で、1日の交通量が10,000台以上の道路を原則とする。(現在の道路構造令で4車線道路を設計すると通常、幅員は25mとなる。)

東名、名神、東名阪、東海北陸自動車道等の高速道路は高架タイプであっても “幹線道路”と扱って支障ない。河川は広い空地の確保は担保されるが、幹線道路、鉄道施設、大規模な工場等のようにそれ自体が騒音源、振動源ではないため距離制限の緩和対象にはならない。

◉道路の基準

(1)敷地の主たる搬出入口が面する道路の幅員は敷地面積に応じて下表の数値以上とすること。ただし周囲の状況等により交通安全上支障がない場合 はこの限りではない。

・敷地面積が0.3ha未満の場合は6m

・敷地面積が0.3ha以上の場合は9m

(2)道路の拡幅により前号の規定を満足しようとする場合は当該幅員以上の道路に接続するまでこれを行うこと。

(3)主たる搬出入道路は通学路と相当の区間にわたって重複しないこと。ただし、歩道と車道が分離されている場合はこの限りでない。

≪道路の基準の注意ポイント≫
接続道路幅員は敷地面積によって判断すべきではなく、避難活動及び消防活動上支障があるかどうか、歩行者(通学路とも)、自転車、自動車(小型、普通、大型)の現況交通量並びに廃棄物処理施設建設に伴う増加交通量に適切な対応ができるかどうかで判断すべきではあるが、敷地面積が大きく必要な施設については、当然大型車等による頻繁(ひんぱん)な交通が予想されると判断し、敷地面積により必要な接続道路幅員を定めている。

“ただし、周囲の状況等により交通安全上支障がない場合は、この限りではない。”とあるが具体的な運用は、以下のとおりとする。いわゆる「行き止まり道路」等通過交通が少なく、かつ、1日当たりの車両及び歩行者等の交通量が少なく、避難上及び消防活動上支障がない場合を判断基準とする。しかし、廃棄物処理施設が建設されれば、当然大型車等による頻繁な交通が予想されるため、自動車交通の利便、歩行者・自転車の安全を確保する意味で、真にやむを得ない場合を除き、接続道路幅員は緩和しないものとする。

“歩道と車道が分離されている”とは、単に白線が引かれているだけでは足りず、縁石、ガードレール等により物理的に分離されていることが必要である。また、通学路部分における搬出入車両の運行は、極力、児童の登下校の時間をさけること

◉施設の事前説明の範囲

(1)敷地境界線から30m以内の居住者、土地の所有者・権利者及び建築物の所有者・権利者に対して許可申請以前に事業計画の概要について事前説明を行うこと。(工業専用地域は除く。)

(2)当該敷地を区域に含む自治会等地元組織(最小単位でもよい。)の代表者及び当該敷地の存する市町村に対しても事業計画の概要について事前説明を行うこと。(地元組織の代表者については工業・工業専用地域は除く。)

(3)焼却施設等のように他法令、条例等に基づき関係地域住民に対する周知又は説明会の開催を行った場合はこの限りではない。

≪施設の事前説明の範囲についての注意ポイント≫
(1)は工業地域、市街化調整区域等の場合においての基準であり、許可申請以前に説明する必要がある。説明の方法については、文書、電話、口頭などいろいろなケースが考えられるが、どのような場合でも誠意ある説明が必要であることはいうまでもない。

(2)は自治会等組織の代表者及び当該市町村に対する説明である。工業、工業専用地域内において、自治会等組織の代表者に対して説明を行う義務は、この基準上はない。申請敷地が、市町村境の場合は円滑な事業の施行を図るため隣接市町村に対しても説明を行うことが望ましい。

(3)廃棄物の適正な処理の促進に関する条例で説明会の開催が義務付けられている焼却施設等は、この基準による事前説明は、原則必要ない。

なお、環境部廃棄物対策課は“愛知県産業廃棄物適正処理指導要綱”のなかで、中間処理施設について当該土地の所有者及び隣接する土地所有者の承諾が得られることを求めている。

この事前説明制度は、廃棄物処理法が改正され設置許可の必要な施設についてすべて生活環境影響調査が義務付けされたことに伴い、従来の同意制度をあらためたものである。

◉施設整備の基準

(1)建ぺい率
概ね5/10以下とすること。このとき、別敷地に駐車場を設ける場合は、これを合わせて算定することができる。

(2)緑化等
緑化率は原則として20%以上とすること。
敷地境界線の内側に沿って都市計画法施行令第28条の3の規定に準じた緩衝帯等を設けること。
このとき緩衝帯の幅は敷地面積が1ha未満の場合は1m以上とすることができる。
また緩衝帯には緑地のほか公害防止上有効な塀、付属建築物等が含まれる。

(3)その他
・敷地は極力整形化に努めること。
・所要の駐車場を確保すること。
・公害防止対策を万全に行うこと。
・他法令の許認可が得られること。
(中間処理業等)

≪施設整備の基準についての注意ポイント≫
(1)の“・・・別敷地・・・”とは、申請地の隣接地及び接続道路等の反対側の土地を原則とするが、歩いて数分の近接地を排除するものではない。

(2)の“緑地”とは、その機能を十分に発揮するために原則として樹木を植栽する必要がある。高木(成長樹高が概ね10m以上になるもの)を植栽する場合は10平米に1本以上、低木(成長樹高が概ね5mまでのもの)を植栽する場合は10平米に3本以上の植栽密度とすること。

“緩衝帯”設置の趣旨は、公害対策を建築物だけで行うのではなく、敷地でもおこなうために余地を残しておこうという趣旨である。

(3)の他法令とは、“廃棄物処理法”“家電リサイクル法”“容器包装リサイクル法”“食品リサイクル法”“自動車リサイクル法”“騒音規制法”“振動規制法”“水質汚濁防止法”“大気汚染防止法”“悪臭防止法”“都市計画法”“消防法”“農地法”等が該当するが特に廃棄物処理施設の性質上、“廃棄物処理法”との調整を確実に行う必要がある。