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廃棄物の「焼却」についての法規制の概要

1)焼却についての法規制

廃棄物の処理について定めている廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」と言う。)では、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならないと規定しています。

  • 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従って行う廃棄物の焼却。
  • 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却。
  • 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの。

上記の政令で定める内容は次の通りです。

  • 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却。
  • 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却。
  • 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却。
  • 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却。
  • たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの。

一方、消防署が管轄する消防法等では焼却炉等に関する規定は無く、例えば名古屋市の場合には、名古屋市火災予防条例により、火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為をする場合には、あらかじめその旨を消防署に届け出るだけです。

【根拠法令】

廃棄物処理法

第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。

一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従って行う廃棄物の焼却

二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却

三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの

 

廃棄物処理法施行令

(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)

第十四条 法第十六条の二第三号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。

一 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却

二 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却

三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却

四 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却

五 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの

 

名古屋市火災予防条例

(火災とまぎらわしい煙等を発するおそれのある行為等の届出)

第69条 次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめその旨を消防署長に届け出なければならない。

(1) 火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為

(2) 煙火(がん具用煙火を除く。)の打上げ又は仕掛け

(3) 溶接又は溶断の作業

(4) 劇場等における既設の客席を、興行目的のためにする一時的な変更又は劇場等以外の場所における演劇、映画その他の催物の開催

(5) 屋上における仮設飲食店の開設

(6) 祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しに際して行う露店等の開設(対象火気器具等を使用する場合に限る。)

(7) 水道の断水又は減水

(8) 消防隊の通行その他消防活動に支障を及ぼすおそれのある道路工事

 

 

2)焼却炉の規模と他法令との関係

 

焼却炉の区分 廃棄物
の区分
廃掃法 愛知県廃棄物の適正な処理の促進に関する条例 ダイオキシン類
対策特別措置法
大気汚染防止法
・処理能力が50㎏/h未満

・火床又は火格子面積が0.5㎡未満

産廃 × × × ×
一廃 × × × ×
・処理能力が50㎏~150㎏/h未満

・火床又は火格子面積が0.5~1.5㎡未満

産廃 × ×
一廃 × × ×
・処理能力が150~200㎏/h未満

・火床又は火格子面積が1.5~2㎡未満

産廃 × ×
一廃 × × ×
・処理能力が200㎏/h以上

・火床又は火格子面積が2㎡以上

産廃 ×
一廃 ×

(凡例)○:規制対象 ×:規制対象外

  • 他者の廃棄物を焼却する場合は、処理能力に関係なく処理業の許可が必要。
  • 愛知県廃棄物の適正な処理の促進に関する条例は、廃掃法の規制対象外になっている産業廃棄物の処理能力が50㎏~200㎏/h未満又は火床又は火格子面積が5~2㎡未満を規制しており、一般廃棄物は対象外となっている。
  • 産業廃棄物の廃プラスチック類は処理能力が100㎏/日以上が廃掃法の規制の対象。
  • ダイオキシン類対策措置法は処理能力が50㎏/h以上又は火床又は火格子面積が5㎡以上の焼却炉を規制しており、例えば規制対象外の小規模施設でのダイオキシン類の濃度が基準値以上出ているかの有無は規制の判断基準にしていない。何故ならば当該施設から出るダイオキシン類は環境に与える影響は少ないと考えられるからである。

 

3)すべての焼却炉に適用される基準

 

構造基準 外気と遮断して廃棄物を定量ずつ投入できること。
空気取入口と煙突の先端を除き、外気と遮断して焼却できること。
800℃以上で焼却できること。
空気の通風が十分行われること。
燃焼ガスの温度測定装置が設けられていること。
助燃装置が設けられていること。
維持管理基準 煙突の先端以外から燃焼ガスが排出されないように焼却すること。
煙突の先端から火炎または基準(※1)を超える黒煙は排出されないように焼却すること。
煙突から焼却灰及び未燃物が飛散しないように焼却すること。

※1:日本工業規格D8004に定める汚染度で25%

1)廃棄物処理基準に適合した焼却炉を用いて焼却する場合を除いて、廃棄物の焼却は原則禁止されています。廃棄物処理基準を満たさない焼却炉の使用や野外焼却(野焼き)は出来ません。